これはプレスティッジが56~57年代に展開したリーダー無しの
スタジオ・ジャム・セッションシリーズの1作目。
ラフなスケッチで行われたセッションとみなされがちだが
本アルバムの後半3曲に限るとそれは誤解だ。
マル・ウォルドロン、ハンク・モブレーが新世代としての作曲・演奏
センスを世に問うているものだ。 各メンバーは短いソロの出番ながら
各自の持ち味を出してビシッと決めている。
ブルース・フィーリング一発で通しているような長尺「オール・ナイト・ロング」は
その後3曲のためのウォーミングアップだったのかって気がしてしまう。
ハンク・モブレーの2曲「ブルー・ルー」「リル・ハンキー」は、これはもう切なくて
泣けてくるくらいの哀愁を帯びた曲。 間に挟まっているマル・ウォルドロンの
「フリッカーズ」がまた哀愁のファンキー・ジャズ・ナンバー。
ピアノ・ソロで演じられたら暗く重厚な典型的マル・ナンバーと言うことになるのだろうが
ここの3管はそうは料理しなかった。 ハンク・モブレーの曲もマル・ウォルドロンの曲も
ソニー・クラークの曲も通じる楽想を感じさせる。
このあたりが当時のヤング・ジェネレーションのヒップ感覚だったのだろうか。
オール・ナイト・ロング
オール・ナイト・ロング ジャズアルバム紹介
に加筆・修正を加え転載。
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